神戸中山手 キン肉税理士いいだの子育てブログ

子育てのこと、日々のこと、趣味のこと、たまにマジメなことを綴ります

お金の話

こんにちは、税理士のいいだです。

よく借入金の返済はなんで経費じゃないのかと質問を受けます。

なぜかと聞かれたら簿記のルールでそうなっているからとしか答えようがないんですが、借入の返済が経費になるなら借入金の入金は利益になり、借入すればするほど納税額が増えますよねという話をすると大体納得してくれます。

この借入の返済は損益には関係ないんですが収支には関係ありますよね。収支はキャッシュの出入りです。

500万円を借金して小売業を始めたとします。500万円は店舗と設備に全額使い、毎月の借金返済は5万円とします。

1年間の売上が1,000万円、仕入が700万円、家賃、水道光熱費、電話代、交通費等の合計が90万円、店舗と設備の減価償却費が10万円とします。

売上1,000万円-仕入700万円-その他の経費90万円-減価償却費10万円=200万円。

この1年間の利益は200万円でした。が、手元に残っているお金はいくらでしょう。

減価償却費10万円はどこかに10万円支払っているわけではないので、利益200万円+減価償却費の10万円=210万円あるはずなんですが、借金を返済しているので

手元に残っている現金は210万円-5万円✖12ヶ月=150万円

個人事業ならこの利益200万円に対して所得税(利益に応じて税率は変動しますが、とりあえず税率10%とします)と住民税(税率は一律10%です)がかかります。

所得税200万円✖10%=20万円

住民税200万円✖10%=20万円

所得税を実際納税するのは翌年3月、住民税は翌年6月以後ですが、1年間事業をして自由に使える現金は200万円-借金返済60万円-所得税20万円-住民税20万円=110万円です。

生活費として使えるのは110万円だけです。これを分からず毎月20万円を生活費として使っていたら、年末時点ですでにお金がギリギリ、翌年1月2月はなんとかやりくりできても3月の所得税、6月の住民税を払うお金は無いでしょう。

これから事業を始めようと思われている方は、目標の利益いくらという設定も大事ですが、目標の期末キャッシュ残高という設定はもっと大事だと思いますよ。